2024年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。
公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。
日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。
DL方法:ログイン⇨認定施設申請⇨過去問(口頭試問)
問1 解答例
-1) 他院の過去の麻酔記録を確認する
-2) 必要に応じてアレルギー専門医と連携し、皮膚テストなどで原因物質を可能な範囲で同定する
問2 解答例
-ロクロニウムが使用できない場合、別の筋弛緩薬を用いるか、筋弛緩薬なしでの挿管を検討する
-長時間手術などで筋弛緩が不可欠なら、ベクロニウムやスキサメトニウムなど、アレルギーリスクの低い代替薬を準備する
-筋弛緩薬を使えない場合、気腹に影響が出て視野が確保しずらい可能性があるなど、外科医に手術時間延長や術式変更の可能性を事前に共有する
問3 解答例
-1) リスク:高血圧・糖尿病などの生活習慣病に伴う心血管合併症
-準備・計画:動脈圧ラインやCVラインによる厳重な血圧・血糖管理、術中の循環モニタ強化
-2) 腹腔鏡下肝切除:気腹による高炭酸ガス血症、呼吸器系への負荷
-準備・計画:適切な換気設定(CO₂モニタリング強化)、気腹圧管理(過度な上昇を避ける)
-3) 肝切除術:出血リスクや肝機能障害の可能性
-準備・計画:十分な輸血体制、凝固機能評価(血液製剤の準備)、肝血流量を保つ循環管理
-4) リスク:血糖値異常
-準備・計画:メトホルミンは2日前から休薬し、術前の血糖値を管理する。術中も血糖値を適宜測定し、低血糖にならないよう注意する
問4 解答例
1) 術野からの出血やCO₂気腹圧過剰がないか確認
2) 水平位に戻し、気腹圧を低めに設定
3) 輸液負荷や昇圧薬使用、吸入酸素濃度を100%にする
4) TEEで右室拡大や気泡がないか確認(CO₂塞栓や心機能低下の有無を鑑別)
問5 解答例
-最も疑われる診断名:CO₂ガス塞栓
-経食道心エコーでさらに確認すること:肺動脈に空気があるか、右室負荷で急激に右室系が拡張しているか確認
問6 解答例
-1) カテーテルがくも膜下腔に誤挿入されていないか吸引し確認。引けた場合は糖の値を調べる。
-2) カテーテルを一時的に使用中止する
-3) 術後鎮痛の代替手段(IV-PCAや末梢神経ブロック、鎮痛薬調整など)を再検討
問7 解答例
麻酔科の〇〇と申します。手術お疲れ様でした。カテーテルから注入した薬剤が硬膜の内側に入ってしまったのが原因で足が動きにくくなっていると考えられます。足の症状は時間が経つと元通り動くようになると思います。このような場合に起こるよくある症状として頭痛があります。今後もし頭痛が出るようでしたら、適宜治療させていただきます。治療としては、1つ目は、水分摂取とカフェイン、鎮痛薬の摂取をし、数日~2週間程度経過観察をするという治療で、もう一つは、硬膜外に自分の血液を投与して穴をふさぐ自己血パッチという方法があります。まずは一つ目の治療を行い、それでも改善しないようなら後者の治療を行わせていただきます。経過を継続してみていきますのでよろしくお願いします。