2023年解答例・解説 口頭試問 4-1

口頭試問

2023年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

DL方法:ログイン⇨認定施設申請⇨過去問(口頭試問) 

・導入時
  – 肥満による気道確保困難を考慮する
  – ビデオ喉頭鏡や輪状甲状膜穿刺セットなど、困難気道対応の準備をしておく

・手術中
  – 気腹と頭低位により横隔膜が挙上し、肺コンプライアンスが低下する
  – PEEP付加で無気肺を防止し、定期的なリクルートメントを行う

・抜管から退室時
  – 肥満患者は気道閉塞のリスクが高く、抜管後に呼吸が悪化しやすい
  – 十分な覚醒・筋力回復を確認してから抜管する。

投与しません。

解説

本番では理由も聞かれたとの噂もあります。

・ペニシリンアレルギーの既往がある場合、セフェム系薬剤の使用は症状の重症度と交差反応のリスクを考慮する
・アナフィラキシーのような重症反応が疑われる場合は避けるか別系統薬を検討する

ペニシリンアレルギー患者にセフェム系は交差反応があり好ましくないこと。

執刀時に十分な血中濃度を得るため, 執刀30分ほど前から投与し、執刀時までに投与し終えて おくこと。

アナフィラキシーショックが起きた場合の対応

清潔、無菌操作の前、

体液に曝露された可能性のある場合

患者周辺の物品に触れた後

解説

本番ではこのスライドが最初だったようです。
面食らった受験生も多かったようですが、思いつくものを答えて先に進みましょう。

体液に触れた後の手指衛生は、医療従事者の手に高濃度の病原体が付着する可能性があるため、他の患者や環境に病原体を拡散しないためです。

・未滅菌手袋をつけても手指消毒は「必要」である
・手袋が破損する可能性や脱着時の汚染リスクがあるため、省略はできない

PPE(Personal Protective Equipment)は、医療従事者が作業中に自分自身を保護するために使用する装備を指します。これには手袋、マスク(サージカルマスクやN95など)、ゴーグル、フェイスシールド、ガウン(防護服)、キャップやシューカバーが含まれます。

PPEを装着し続ける理由は、本人の感染対策はもちろんのこと、医療従事者が媒介者となって、病原体を他の患者や器具、環境に広げることを防止できるからです。

・1)気管チューブの片肺挿管
  – 頭低位でチューブがさらに下方に入ってしまい片肺換気となりうる
  – 体位変換後のSpO₂低下などで疑う
・2)回路トラブル(リークなど)
  – SpO₂低下などで疑う
・3)肺塞栓
  – 血圧低下やETCO₂の急激な低下
  – 肥満や頭低位で下肢静脈うっ滞が生じやすいタイミングであること

筋弛緩モニターでPTCが1or2であればスガマデクス 4mg/kgを投与し拮抗できたのを確認してから麻酔薬を停止し覚醒させます。PTC0であれば、緊急で抜管を必要とするわけではないので、筋弛緩効果が低減するまで待ってから拮抗し、抜管して帰室します。

麻酔を担当しました麻酔科の〇〇と申します。手術終了時に吐き気止めと間違って筋弛緩薬を投与してしまい、その影響で現状薬の効果が切れてくるまでは自分で呼吸することができません。 そのため現在眠ってもらったまま、薬の効果が切れるのを待っている状態です。命に直結する深刻な状態ではありませんが、ご心配おかけしまして大変申し訳ございません。まもなく効果は切れて麻酔から目を醒ますことができると思いますので、 もう少しお待ちいただければと思います。

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