2025年解答例・解説 口頭試問 1-1

口頭試問

2025年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

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1) 虚血性心疾患(心筋梗塞後): 68歳時にPCI施行歴があり、アスピリンの休薬タイミングを検討し、β遮断薬(ビソプロロール)の維持、および周術期の血圧・心拍数管理を行う。術中のニコランジルの投与も検討する。
2) 呼吸器合併症/睡眠時無呼吸症候群(OSA)のリスク: BMI 28.8、いびきの指摘、喫煙歴があるため、術後の確実な抜管と気道管理を行う。
3) 術後せん妄のリスク: 78歳の高齢および多量飲酒(1日4合)の既往がありリスクが高いため、早期離床や術後の環境調整等の予防策を講じる。
4) ロボット支援下手術(頭低位・気腹)への対応: 頭低位と気腹による気道圧上昇や顔面浮腫、静脈還流量の変化に対し、適切な換気設定と輸液管理を行う。

解説

飲酒歴はせん妄の、いびきはOSAの重要な指標です。

1) 静脈内自己調節鎮痛法(IV-PCA): フェンタニル等を用いた持続投与とレスキュー。
2) 腹壁神経ブロック: 腹横筋膜面(TAP)ブロックや腹直筋鞘ブロックの施行。
3) アセトアミノフェンの定時投与: 基礎鎮痛としての使用。
4) 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用。

考えられる原因

1) 気管チューブが深くなった。(片肺挿管)。
2) チューブの屈曲(キンク)または分泌物による閉塞。
3) 気腹に伴う肺コンプライアンスの低下。
4) 無気肺の発生。
5) 気胸(CO2の胸腔内漏出)。

行うべき具体的な対応

1) 酸素濃度(FiO2)を1.0に上げる。
2) 両肺の聴診を行い、左右差の有無を確認する。
3) 用手換気に切り替え、肺のコンプライアンス(手応え)を確認する。
4) 気管内吸引を行い、チューブの疎通性を確認する。
5) 外科医に状況を伝え、気腹の解除や体位の緩和を検討・依頼する。

解説

頭低位では縦隔や横隔膜が頭側に移動するため、固定されたチューブが相対的に深くなり右気管支へ迷入しやすい特性があります。DOPEの原則に沿って鑑別します。

D:Displacement (チューブ)位置異常
O:Obstruction (チューブ等の気道)閉塞
P:Pneumothorax (緊張性)気胸
E:Equipment failure 装置の異常

(右気管支への)片肺挿管。

解説

体位(頭低位)や気腹により横隔膜が挙上したことで、気管チューブが相対的に深入りしたことが原因です。チューブを2cm引き抜くことで改善した経過からも裏付けられます。

1) 安定した呼吸数・一回換気量・呼吸パターンの確認。
2) 十分な強さの咳嗽反射、またはヘッドリフト5秒維持等の筋力(気道確保能力の確認)。

解説

修正Aldreteスコアも覚えておきましょう。

1) 気管チューブの完全閉塞(鼻出血による血塊や血性痰の詰まり)。
2) 気管チューブの位置異常(脱落または深入り)。
3) 緊張性気胸。
4) 気管支攣縮

徐脈へ移行しつつあり緊急の対応が必要ですね。落ち着いて対応しましょう。