2023年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。
公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。
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問1 解答例
脳血管障害の既往
腎機能障害
高リスク手術
解説
RCRI(Revised Cardiac Risk Index)はここ数年で頻出です。確実に覚えておきましょう。
1) 高リスク手術(腹部大手術、血管手術など)
2) 虚血性心疾患
3) うっ血性心不全
4) 脳血管疾患(脳梗塞やTIAの既往)
5) インスリン治療を要する糖尿病
6) クレアチニン>2.0 mg/dL などの腎機能障害
問2 解答例
1) 観血的動脈圧(A-line): SVVを計測し輸液の指標に有用で採血も容易に行えるため。
2) 経食道心エコー(TEE):心機能評価や壁運動異常の早期発見が可能で、術中の容量管理・心筋虚血評価に役立つため。
3) 連続心拍出量モニター(例えばFloTrac®, PiCCO® など):循環動態の詳細な把握が可能となり、特に肝切除のように大きな循環動態の変化が予想される症例のため。
問3 解答例
1) 血圧の低下: 昇圧 (輸液負荷、血管収縮薬)
2) 頻脈:β遮断薬,鎮痛
3) 循環血液量不足: 輸液・輸血
4) 貧血: 輸血
問4 解答例
合計 : 7点です。
解説
1) 活動 : 2点 (四肢を自発的または命令に応じて動かせる)
2) 呼吸: 2点 (深呼吸や咳嗽が自由に行える)
3) 循環 0点 (麻酔前の血圧±50%)
4) 意識: 1点 (呼びかけで覚醒)
5) 酸素化: 2点 (室内気で酸素飽和度 > 92%を維持できる)
問5 解答例
1: 応援要請
2: CPR 開始 (胸骨圧迫、マスク換気および気道確保、アドレナリン準備)
3: 除細動器依頼、VF継続であれば到着次第実施
問6 解答例
原因:心筋虚血の増悪
根拠:
- 術中にST低下があり虚血を示唆していた
- 高齢・高血圧・脳血管疾患といった動脈硬化リスクがあり、潜在的な冠動脈狭窄のリスクが高い
- 肝切除術では長時間手術や出血による循環動態変動が大きい
問7 解答例
麻酔科の〇〇です。術後ICUに移動した直後、急に意識がなくなり、心臓が止まる状態となりました。非常に危険な状態だったため、ただちに医療スタッフが心臓マッサージや除細動などの救命処置を行ってご本人の心拍が戻りました。心臓の血管が狭窄している可能性が高かったので、心臓の血管造影を行ったところ心筋梗塞が判明し、血管を拡げる治療を行いました。現在、状態は安定しています。このまま経過観察していきますのでよろしくお願いします。