2021年解答例・解説 口頭試問 5

口頭試問

2021年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

DL方法:ログイン⇨認定施設申請⇨過去問(口頭試問) 

-1) 胃内に食残渣量の精査
-2) 発熱の原因精査
-3) 糖尿病のコントロールなどの精査
-4) 未破裂の大きな動脈瘤について
-5) 腎機能障害のついての精査

-1) 低血糖、高血糖のリスク
-2) DKA、ケトアシドーシスのリスク

対策:
-1) DKA予防で十分な補液
-2) 1時間おきの血糖測定
-3) 尿 or 血中ケトン測定
-4) 高血糖に対し、インスリン持続投与

解説

SGLT 阻害薬の副作用にケトアシドーシスがありましたね。

必要です。
理由としては、内服せずオピオイドの血中濃度が急激に低下すると、離脱症状が生じるからです。

解説

オピオイドの離脱症状は,初期には不安および薬物渇望として現れ,その後に呼吸数増加,発汗,あくび,流涙,鼻漏,散瞳,および胃痙攣として現れ,後期には立毛,振戦,筋攣縮,頻脈,高血圧,発熱,悪寒,食欲不振,悪心,嘔吐,および下痢として現れます。
また、長期オピオイド服用によりオピオイドに耐性が生じている可能性があり,術後鎮痛に必要なオピオイドの量も増大する傾向にあります。

オピオイド:フェンタニルの持続投与を静脈経由で行います。
投与量は、20~25 μ g/h程度で開始します。
理由は、経口が不可であり、腎機能障害もあるからです。
注意点は、嘔気、呼吸抑制、鎮痛など様々なことに注意します。

血圧変動を避けたいので、導入前にAlineを留置します。
誤嚥のリスクを考慮して、迅速導入を行います。
感染リスクを考慮して、COVID-19のリスクがあるなら、フェイスシールド、手袋、ガウン、N95 マスクなどのPPEセットを装着して行います。

局所麻酔下で動脈ラインを留置します。導入時の低血圧に備えて、フェニレフリンなどの昇圧剤を準備しておきます。
麻酔薬はレミフェンタニル、プロポフォール,ロクロニウムを用います。

-1) 高血糖
-2) 代謝性アシドーシス

感染を契機としたDM性ケトアシドーシスかSGLT内服によるケトアシドーシスの可能性あります。
高血糖もあり、状態としてはDKAかなと思います。
治療としては、インスリン投与、カリウム補正、と十分な生理食塩水の投与です。
インスリン投与は、速効型インスリンを 2~4 単位単回投与し、2単位/時で投与開始します。低血糖と低カリウム血症に注意し適宜血糖測定を行います。
補液は、DKA治療分だけで500ml/hくらい投与します。

-1) TAP ブロックがうまく効いていない
-2) 術中フェンタニルの投与不十分
-3) IV-PCAの接続不良で鎮痛ができていない
-4) 縫合不全で痛みが増強している

-1) 痛みの状態について:痛みの部位、性状、時間帯を疼痛評価スケール(VASなど)などをもとに聞きます。
-2) 帰室後の鎮痛管理について:アセトアミノフェン、フェンタニルの投与時間、投与タイミングなどを聞きます
-3) 本人のバイタル、呼吸回数などについて:フェンタニルの投与量などを決めるために聞きます。

指示としては、フェンタニルの追加投与を指示します。あとはアセトアミノフェンをまだ投与していていなければ投与します。

参考サイト:痛みの基礎知識