2022年解答例・解説 口頭試問 7-2

口頭試問

2022年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

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胸部X線写真:肺水腫、CTR拡大、右下肺の透過性低下
頭部CT:くも膜下出血(ペンタゴンサイン)、脳溝消失、急性脳浮腫

-1) 最終飲水・飲食の時間
-2) 気道情報(Mallampati分類、開口、頸部可動域など)、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有無
-3) 心エコー所見(弁膜症、心機能評価など)
-4) 心電図(虚血性変化や不整脈の有無)
-5) 血液ガス検査(酸素化・換気状態、代謝性異常の有無)
-6) 高血圧のコントロール状況・内服薬の確認

解説
くも膜下出血では、交感神経系活動の一過性過剰亢進(カテコラミンの過剰放出)から心筋障害が出現し、心エコーにてたこつぼ型心筋症の有無を確認、心電図で不整脈やST変化なども確認するのが重要でしたね‼️

頭蓋内圧をこれ以上上昇させないようにしましょう。

-1) 過剰な輸液を控える
-2) 軽度過換気を行い PaCO₂ を低下させる
-3) 浸透圧性利尿薬(マンニトールなど)を投与する
-4) 十分な鎮静・鎮痛を行い、血圧上昇を避ける
-5) 高い気道内圧を避ける
解説
これは頻出問題ですね。必ずスラスラいえるようにしときましょう。

-1) 無気肺、分泌物増加
-2) 片肺挿管、チューブの屈曲
-3) 神経原性肺水腫
-4) 気胸
-5) 喘息発作、気管支痙攣

術中低酸素血症が出現した際の対応

-1) 手動換気に切り替え、回路リークなど人工呼吸器のトラブルでないことを確認する
-2) チューブの屈曲など呼吸回路のトラブルを確認する
-3) 聴診し、左右差や肺音の消失、coarse crackles の有無を確認する
-4) 喀痰が原因であれば吸引を行う
-5) 無気肺形成が疑われる場合はリクルートメントを行う
-6) 気胸が疑われる場合は手技を中止して肺エコーで確認し、必要なら緊急脱気を行う
-7) 喘息発作などが原因であれば気管支拡張薬を投与する

神経原性肺水腫を疑う。
機序としては、くも膜下出血により交感神経が活性化され、それによってカテコラミン過剰放出が起き、容量血管の収縮、静脈還流の増加などにより肺動脈圧の上昇が生じ肺水腫が起きる。
その結果、酸素化が低下し、ひいては、冠血流の酸素飽和度低下から徐脈が生じ、PEAに至ったと考えれます。

-1) 手術を早く終了してもらう
-2) 気管内吸引し、酸素の投与 PEEPの付加

-1) 胸骨の圧迫に加えて背中も圧迫し、有効な胸骨圧迫を行う
-2) 準備が整い次第、仰臥位に戻して CPR を行う
-3) EtCO₂ などを確認しながら、有効な胸骨圧迫が行われているかを評価する
-4) head pinning がある場合は CPR により頸髄損傷のリスクとなるため、可能であれば固定を緩め、安全に蘇生処置を行う

1) 人工呼吸管理:呼吸回数 10/分、SpO₂ 94%以上、PaCO₂ 35–45 mmHg を目標に管理する
-2) 循環管理:sBP >90 mmHg、mBP >65 mmHg を維持する
-3) 血糖コントロールを行う
-4) 体温管理療法:32–36℃で少なくとも 24 時間管理する
-5) 継続的脳波モニタリングを行う
-6) AKI 発症の予防に努める
-7) 12誘導心電図を装着し、心筋虚血や不整脈を評価する

麻酔を担当しました〇〇です。手術は無事終わりましたが、手術中に一度心臓が止まってしまい、心臓マッサージなどの蘇生処置を緊急で行いました。幸い一命は取り留めましたが、再度、急変するリスクがないとは言えない状況です。急変した原因としては、くも膜下出血が引き金となって、肺に水が貯まることがあり、これによって呼吸状態が悪化して心停止に至った可能性があります。今後も集中治療室で全身状態を慎重に見ていく必要があります。引き続き、何かあれば、すぐにご連絡させていただきます。不明点などわからないことがありましたらすぐにご説明させていただきますのでよろしくお願いいたします。