2022年解答例・解説 口頭試問 3-1

口頭試問

2022年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

DL方法:ログイン⇨認定施設申請⇨過去問(口頭試問) 

-1) 発熱や咳嗽などの臨床症状を確認する
-2) 予防接種歴の有無や副反応の有無を確認する
-3) 濃厚接触の有無を確認する
-4) 抗原検査・抗体検査の結果を確認する
-5) 胸部X線写真やCTで肺炎像を確認する

準備物品
-1) ガウン
-2) 手袋
-3) フェイスシールド
-4) N95マスク
-5) アルコール消毒
-6) ビデオ喉頭鏡
-7) 閉鎖的な吸引カテーテル
-8) 人工鼻

確認・調整しておくこと
-1) 手術に関与するメンバーと人数制限を確認する
-2) 迅速導入に使用する薬剤を準備する
-3) 迅速導入の手順を介助者と確認する
-4) 搬入経路や時間帯を調整する

quick SOFA score 2項目以上該当のため敗血症が疑われる.
解説
quick SOFA score:①意識変容②呼吸数 22回/min 以上③sBP100以下
スラスラ出てくるようにしておきましょう。
参考サイト:https://www.jsicm.org/news/news240606-J-SSCG2024.html

3ヶ月前と比較してSOFAスコアの2点以上の上昇が認められるため敗血症と診断します。

-1) 動脈圧ライン(FloTrac)
-2) 中心静脈圧ライン(ScvO₂)

指標
-1) SVV
-2) PPV
-3) 尿量やMAPの推移

血管作動薬
-1) 第1選択:ノルアドレナリン
-2) 第2選択:バソプレシン

迅速導入を選択します。嘔気嘔吐など誤嚥のリスクが高いからです。

ミダゾラム0.1mg/kg、フェンタニル100ug ロクロニウム70mgで導入します。

解説

血圧低下にすぐ対応できるよう血管収縮薬は準備します。導入時に少量投与してもいいかもしれません。

-1) バソプレシンおよびノルアドレナリンを増量する
-2) 相対的副腎不全に対して低容量ステロイド(ヒドロコルチゾン:hPSL)を投与する
-3) 敗血症性心筋症に対してドブタミンを投与する
-4) アシドーシス補正(etCO2の調整や炭酸水素Naの投与)

解説

相対的副腎不全に対して低容量ステロイド(ヒドロコルチゾン:hPSL)を投与することは敗血症性ショックに限って予後をよくするというエビデンスがあリます。
それ以外のただの敗血症に対しては投与は推奨されていません。
投与量、投与期間は報告によってまちまちであるがhPSL:50mg/q6hの漸減法が多いです。

-1) 輸液療法に効果が見られず、平均血圧を 65 mmHg に保つためにノルアドレナリンを使用しており、乳酸値も 6 mM と高値で敗血症性ショックが疑われる。このため、今後も循環動態の厳密な管理が必要と考えられる。
-2) P/F 比が 72/0.4 = 180 と低下しており、酸素化が悪化しているため ARDS の発症が疑われる。このため、厳密な呼吸管理が必要と予測される。

高K血症

解説

テント状T波が見られます。

-1) GI療法:グルコース 5 g に対してインスリン 1 単位程度を投与する
-2) フロセミド 20 mg から静注で投与する
-3) 2%塩化カルシウム 5–10 mL、または 8.5%グルコン酸カルシウム 5–10 mL を投与する
-4) 血液透析を行う
-5) 炭酸水素ナトリウム(メイロン):pH 補正目的で投与する
  必要量 (mL) = 不足塩基量 (mEq/L) × 0.2 × 体重 (kg) で算出し、分割投与する(8.4%メイロン静注の場合)