2021年解答例・解説 口頭試問 8

口頭試問

2021年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

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肺機能:肺気腫合併肺線維症であり、肺葉切除により更なる肺機能の低下が予想されます。術後、ARDS、無気肺、気胸などのリスクがあります。
術前からの呼吸器リハビリテーションやトリフローなどを用いた呼吸訓練を行い、十分に術後鎮痛を行い、早期離床を目指します。

心機能:心房細動があり、術後、心不全のリスクが高いため、適切な循環管理が必要です。

認知機能:術後せん妄のリスクが高いため、家族との面会、照明の調整、モニター音量の調節、不要なデバイスやチューブなどの抜去などを行う。

-1) ビソプロロール:反跳性高血圧のリスクがあるため、当日朝まで継続する
-2) SGLT2 阻害薬:絶食時の低血糖リスクがあるため、3日前から休薬する
-3) メトホルミン塩酸塩錠:絶食時の低血糖リスクがあるため、2日前から休薬する
-4) メマンチン塩酸塩錠:当日朝は休薬する

-1) 低酸素血症
-2) 無気肺
-3) 気胸

気管支ファイバーを左気管支に挿入し、DLT を誘導します。
second carina の分岐からチューブの先端が2~3cm離れていることを確認し、
上葉枝を閉塞していないことを確認します。
次に右気管支側のチューブに挿入し、青カフが少し見えているくらいの位置であることを確認します。

-1) 原因:回路リーク
 ・検索方法:回路の外れや人工呼吸器作動し忘れを確認、気管支ファイバーで先端位置を確認し抜管されていないかを確認する
 ・対応:エラーが起きていた部分を調整する

-2) 原因:気胸
 ・検索方法:エコーで sliding sign の有無を確認、聴診で左右差を確認する
 ・対応:健側なら仰臥位に戻し胸腔ドレーン挿入+手術延期検討、患側なら分離肺換気を開始する

-3) 原因:気管支痙攣
 ・検索方法:聴診で wheeze を聴取する
 ・対応:吸入麻酔薬使用、気管支拡張薬、ステロイド、β₂刺激薬吸入を行う

-4) 原因:肺塞栓
 ・検索方法:血圧低下、ETCO₂ 低下、経食道心エコーで評価する
 ・対応:補液、ヘパリン投与、心臓血管外科・循環器内科に連絡する

-1) チューブの位置異常を確認する
-2) 換気量が低下していないか確認する
-3) 分泌物が多量であれば吸引する
-4) 非換気側に CPAP または酸素吹き流しを行う
-5) 換気側に PEEP を付加する
-6) 無気肺が疑われる場合はリクルートメントマニューバーを行う
-7) 改善が乏しい場合は両肺換気に切り替える

バイタル、血液ガス分析にて、電解質異常、低血糖、貧血、低酸素・高二酸化炭素血症がないか確認します。
また、問診を行い、神経学的巣症状がないか確認します。あれば頭部CTなどで頭蓋内疾患がないか確認します。
鎮痛が不十分な場合には、鎮痛薬を追加します。

-1) アセトアミノフェン:急速投与や過量投与による肝障害に注意
-2) NSAID:腎機能障害に注意

麻酔科の〇〇です。まずは手術お疲れ様でした。手術した後からお胸の痛みが続いているんですね。大変お辛いですね。
おそらく痛みの原因は、おそらく手術の際の開胸が原因かと思います。そういった痛みに効くプレガバリンというお薬がありますので、処方させていただきますね。
いつまでに治るといった断定的なことはわからないのが特徴の痛みになりますので、ゆっくりと経過を一緒に見ていきましょう。
不安なことなど聞いておきたいことがあればいつでも聞いてください。