2021年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。
公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。
日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。
DL方法:ログイン⇨認定施設申請⇨過去問(口頭試問)
問1 解答例
-1) ワクチン接種歴の詳細
-2) 感冒症状の詳細
-3) 濃厚接触の有無
問2 解答例
-1) 糖尿病
・DM コントロール目的で入院し血糖コントロールを開始する
・SGLT2 阻害薬は手術 3 日前から中止、DPP-4 阻害薬は前日から中止する
-2) 低心機能
・循環器内科にコンサルトする
・アスピリン継続の可否や術前 CAG の必要性を確認する
-3) 心筋梗塞の既往
・心電図、心エコー、PCI の情報を収集する
-4) 腎機能障害
・周術期の血圧維持と適切な輸液管理に注意する
・抗生剤などの薬剤投与量にも注意する
問3 解答例
-1) 低心機能
・前負荷・後負荷を適切に管理し、心不全に注意する
-2) 心筋梗塞の既往
・頻脈を避け、HR 60 程度で管理する
・冠血管拡張薬を使用しつつ、低血圧を避ける
-3) 腎機能障害
・腎灌流圧を維持する
・薬剤の過量投与に配慮する
・NSAIDs は使用しない
-4) コントロール不良の糖尿病
・適宜血糖測定を行い、必要に応じて補正する
問4 解答例
硬膜外麻酔を行います。
理由としては、開腹手術で術後疼痛もかなりのものが予想されるので、硬膜外麻酔を行います。
追加で、必要があれば、アセトアミノフェンなども投与します。
解説
硬膜外麻酔を行わない派でも、理由があれば正解かと思います。
問5 解答例
輸液管理の指標:SVV、ScvO2、CVP、尿量、PPVなどから3つ
輸血開始を判断する項目は、Hb、ScvO2、Ph、乳酸値などです。各臓器に十分な酸素量を供給できているかを判断し、不足していると考えた時に開始します。
問6 解答例
-1) Hb 値の低下
・対応:輸血を行う
-2) 酸素消費量の増加
・対応:疼痛が原因であれば鎮痛薬を追加する
けいれんが原因であればジアゼパム、ベンゾジアゼピン、レベチラセタムの投与を行う
-3) 酸素飽和度低下
・対応:FiO₂ を上昇させる
無気肺や肺水腫が原因の場合は NPPV の装着や利尿薬投与を検討する
-4) 心拍出量の低下
・対応:原因検索を行い、Volume 管理やカテコラミンの投与を行う
解説
SvO2 の規定因子としては、心拍出量(CO)、Hb 値、動脈血酸素飽和度、酸素消費量が関与しているんでしたね。
それぞれの変動理由を述べればいいでしょう。
問7 解答例
麻酔科の〇〇です。まずは手術お疲れ様でした。ご心配をおかけしまして、申し訳ございません。
手術後の痛みで一時的に落ち着きのない状態になっていました。今は鎮痛薬の投与で落ち着いております。
全身状態が落ち着くまでは、このままICUで経過を見させていただきますのでご安心ください。
ご不安なことがあれば、なんでもお尋ねください。
引き続きよろしくお願いします。