2023年解答例・解説 口頭試問 5-2

口頭試問

2023年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

DL方法:ログイン後、左のバナー「各種認定情報・資格申請」をクリック > 右のバナー「麻酔科専門医試験過去問題について」をクリック > 各種年代別の過去問をDLできます。 

・最終食事摂取時間や胃内容量の評価(誤嚥リスク把握)
・循環動態および脱水の有無(血圧・心拍数・中心静脈圧や尿量など)
・電解質や腎機能(急性腹症で代謝バランス乱れの可能性)
・COVID-19検査

(1) ショック状態: 輸液負荷、ノルアドレナリンの投与を考慮
(2) 誤嚥リスクあり:Awakeで事前に胃管挿入し吸引および減圧を図る。
(3) 凝固能低下:FFP輸血
(4) 腎機能低下:利尿を図って腎機能維持、術後のCHDFのためにバスキャスカテーテルを挿入する。

(1) 術前に十分な輸液負荷を行い循環血圧を保つ
(2) 動脈圧ラインや中心静脈ラインを確保し、血圧低下時に即応できる体制を整える
(3) 適切な昇圧薬・血管作動薬(ノルアドレナリンなど)を用意し、必要時すぐ投与する

(1) 残存筋弛緩 → TOF/PTCモニタで筋弛緩状態を確認 → スガマデクスなどの拮抗薬投与・再投与
(2) 残存鎮静薬 → BIS、呼吸状態、意識レベルを観察
(3) 低体温 → 体温測定 → 保温・加温、体温管理
(4) 代謝性/電解質異常(低血糖、高マグネシウムなど) → 血液ガス・血糖・電解質測定 → 必要に応じ輸液調整、製剤投与、透析
(5) 残存麻薬 → ナロキソン投与
(6) 中枢神経系疾患(脳出血や脳梗塞) → 瞳孔不同など確認、CT、MRI検査行う

解説

多数鑑別にあがりますが、最初に思いついたのを4つ言えればいいでしょう。

高マグネシウム血症

解説

血中のマグネシウム濃度の正常値は、1.7~2.2 mg/dL(0.7~0.9 mmol/L)程度とされています。

・(1) グルコン酸カルシウムの静脈投与(心毒性や神経筋伝達阻害を拮抗)
・(2) 透析によるマグネシウム除去

解説

・重度の高マグネシウム血症ではカルシウム製剤が第一選択となり、不整脈や筋力低下を抑制
・腎不全や重症例では透析が有効
・軽度の場合は利尿薬投与や輸液負荷による排泄促進も選択肢となるが、急性かつ重症の場合は早期透析が最も確実

・(1) 手術の経過と処置内容(穿孔部位、手術方式、合併症の有無)
・(2) 麻酔方法と使用薬剤(特に鎮静薬・筋弛緩薬・拮抗薬)
・(3) 術中輸液量と輸血量、血圧・尿量・CVPなどの推移
・(4) 覚醒遅延の原因と現状(高マグネシウム血症の疑いと対応)
・(5) 挿管中の呼吸管理方針(設定、PEEP、酸素投与量)と必要な追加治療(透析など)

麻酔を担当しました〇〇と申します。手術は無事終了しましたが、術後の覚醒が悪く、原因を調べたところ、術前から服用していた便秘薬によって血中のマグネシウム濃度が高く、それにより覚醒遅延を起こしていました。すでに治療し状態が良くなったため、翌日には口に入っていたチューブも抜けています。ご不安をおかけしましたが、今は大きな問題なく呼吸や血圧は落ち着いています。今後も感染症や合併症に注意しながら治療を続けますので、ご安心いただければと思います。何かご不明な点やご心配があれば遠慮なくお話しください。

タイトルとURLをコピーしました