2024年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。
公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。
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問1 解答例
問題点
1 巨大甲状腺腫による気管圧排や扁平化で、導入後、換気不能となる可能性。挿管が難しくなる可能性
2 気管浸潤により挿管により出血する可能性
3 仰臥位での呼吸困難があり、仰臥位での導入が困難であること
問2 解答例
考慮するポイント
1 最短気管径;挿管チューブを進められるサイズ選択に重要なため。
2 声門部から気管狭窄部までの距離;挿管チューブを声門通過後、この距離以上に進めないと後に換気不能となる恐れがあるため。
3 声門部から気管分岐部までの距離;挿管チューブの先端が片方の気管支に留置され、片肺換気にならないため。
問3 解答例
補正しません。まずは血液ガス分析をもう一度行いましょう。
理由としては、採取した血液にヘパ生が混じっている可能性が高いからです。
解説
本番で焦っていると難しいかもしれません。
カルシウムが異常低値であること、BEが−8であることから、他の値も見てみると、
採取した血液の中に1/3程度のヘパ生が混在していることに気づくでしょう。
問4 解答例
-1) 気管周囲・喉頭部の浮腫や創部出血による再狭窄・気道閉塞のリスク
-2) 甲状腺腫切除後の気管軟化部位が虚脱するリスク
問5 解答例
1 完全覚醒下でカフリークテスト後に抜管する(十分な自発呼吸・筋力回復・覚醒状態を確認)
2 気道内視鏡(ファイバースコープ)などで気管内状態を確認しながら抜管するか、もしくはチューブエクスチェンジャーを留置して安全性を確保
3 頚部創部の出血・腫脹の有無を確認し、必要があれば先に圧迫や吸引で対処
4 抜管後もすぐに再挿管や緊急気道確保ができる準備(器材・人員)を整えておく
問6 解答例
陰圧性肺水腫
問7 解答例
1 出血リスク:手術直後の頸部は出血・浮腫・解剖変化などで視野が不良になり、迅速安全に切開するのが困難
2 低酸素状態になるリスク:肺水腫があり、気管切開の際に低酸素になるリスク大である。酸素化をあげると気道火災のリスクも上がります。
問8 解答例
1 直ちに酸素供給を停止し、酸素・笑気など可燃性ガスを停止
2 気管チューブを早期に抜去し、火元を除去
3 気道付近の可燃性材料を取り除く
4 生理食塩水や可燃物を冷却する液体で火を消す(術野へ注ぐ)
5 消火後、気道内の損傷を速やかに評価し再挿管(または緊急気管切開)して換気を確保
解説
火災発生防止には?
1:高濃度酸素環境での発火源使用を避ける
2:酸素を含む気体が貯留しないようにドレープをかける
3:皮膚消毒時の可燃性消毒液は十分に乾燥させる
4:発火源の近くに湿ったスポンジやガーゼをおく。