2022年解答例・解説 口頭試問 5-2

口頭試問

2022年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

DL方法:ログイン⇨認定施設申請⇨過去問(口頭試問) 

-1) 下腿浮腫・高血圧:妊娠高血圧症候群を示唆し、気道浮腫・肺水腫・子癇発作のリスクがある
-2) 筋腫核出術や帝王切開後:腹腔内癒着や大量出血、弛緩出血のリスクがある
-3) 血小板低下・肝酵素上昇:HELLP症候群を疑い、脳出血・肺水腫・ARDS のリスクがある
-4) 妊娠35週:児の肺が未成熟である可能性がある

-1) 凝固系検査
-2) 胎盤の位置
-3) 気道の評価
-4) 最終飲食時間
-5) 胎児徐脈の有無
-6) HELLP症候群の症状(上腹部痛、心窩部痛、嘔気・嘔吐、頭痛)
-7) 下肢静脈エコー

▶ 硬膜外麻酔の併用のデメリット
-1) 出血による DIC 発症時、硬膜外血腫のリスクがある
-2) 硬膜外穿刺により PDPH(穿刺後頭痛)が起こるリスクがある

▶ 全身麻酔のデメリット
-1) 誤嚥のリスクがある
-2) 気道確保困難のリスクがある
-3) “Sleeping baby” のリスクがある

0.5%ブピバカイン2.0ml フェンタニル25ug モルヒネ0.1mg 合計2.6ml 

-1) 仰臥位低血圧症候群
 対処法:左側臥位にする、子宮を左方移動させて IVC 圧迫を解除する

-2) 脊髄くも膜下麻酔による前負荷・後負荷低下
 対処法:麻酔レベルをチェックし、低血圧に対してフェニレフリン投与や輸液負荷を行い昇圧する。

解説

ちなみに、最近の帝王切開の麻酔時の低血圧予防としてノルアドレナリン持続が推奨されていますね!

-1) オキシトシン:5 単位を緩徐静脈注射
-2) メチルエルゴメトリン:0.2 mg を緩徐静脈注射または筋肉注射

-1) 産科危機的出血を宣言する
-2) コマンダーを決定する
-3) 酸素投与を行い、全身麻酔の準備をする
-4) 輸血の有無を確認し、血液が届き次第輸血を開始する
-5) クリオプレシピテートやフィブリノーゲン製剤、トラネキサム酸を投与する
-6) 動脈圧ラインを確保する
-7) 圧迫止血をお願いする

-1) 異型輸血を考慮し、緊急度に応じて交差適合試験を省略する
-2) 圧迫止血を継続依頼する
-3) 加温し、低体温による凝固障害を防ぐ
-4) フィブリノーゲン製剤やクリオプレシピテートの投与を検討する
-5) IVR(動脈塞栓術)を放射線科に依頼する

-1) TACO(Transfusion Associated Circulatory Overload:輸血関連循環過負荷)
-2) TRALI(Transfusion Related Acute Lung Injury:輸血関連急性肺障害)
-3) 低体温
-4) 低カルシウム血症
-5) 高カリウム血症

ICUで呼吸、循環管理を行う必要があるかと思います。