2024年解答例・解説 口頭試問 5-1

口頭試問

2024年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

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 -問題点(4つ)と対応
  1) フルストマック(消化管穿孔疑い、最終飲食が明確でない)
   -対応: 迅速導入(RSI)または意識下挿管など、誤嚥防止策を徹底
  2) 高血圧・心筋梗塞既往による周術期心血管イベントリスク
   -対応: 血行動態を安定化させるため、術中は観血的動脈圧ラインでモニタリングし、ニコランジルなどの持続投与を行う。術後ICUで継続管理
  3) 出血傾向(バイアスピリン内服中、PLT:8万)
   -対応: 硬膜外麻酔を避ける
  4) 不安定な全身状態(カテコラミン投与中、酸素が必要な状態)
   -対応: 十分な補液、カテコラミンの投与を行う

 1) Revised Cardiac Risk Index(RCRI)の6項目
  -①高リスク手術(胸腹部大手術、血管手術など)
  -②虚血性心疾患(心筋虚血の既往や現病)
  -③心不全の既往(心不全の既往や症状)
  -④脳血管疾患(脳梗塞やTIAの既往)
  -⑤インスリン治療を要する糖尿病
  -⑥術前のクレアチニン>2.0 mg/dL(腎機能障害)

 2) 本症例に当てはまる項目と心血管イベント発生率
  -当てはまる項目:
   ・高リスク手術(消化管穿孔による緊急開腹手術)
   ・虚血性心疾患(心筋梗塞の既往)

  -該当2項目 → 術後心血管イベント発生率は約7.2%程度

解説

非血管手術のRCRI における院内または 30 日心血管イベント率(95% CI)

0  :0.91%(0.70-1.2%)
1  :2.9%(2.5-3.4%)
2  :7.2%(6.0-8.6%)
≧ 3 :13.7%(10.7-17.4%)

 1) 気道の局所麻酔薬の準備(キシロカインスプレー、ネブライザーなど)
 2) 鎮静薬、鎮痛薬、筋弛緩薬の準備
 3) ファイバースコープやビデオ喉頭鏡などの挿管器具の準備
 4) モニターの装着(SpO2、ECG、NIBPなど)と酸素投与の準備
 5) 非常時の対応策(輪状甲状膜穿刺セット、サクション、経鼻エアウェイなど)
 6) 患者への十分な説明

 1) 輸液・輸血の迅速投与
 2) 昇圧薬・血管作動薬(フェニレフリン、ノルアドレナリン、ドパミンなど)の投与
 3) 血液ガス分析でアシドーシスがないかを評価。あれば補正。
 4) 体温管理(低体温で血管収縮能が低下し、出血も増える可能性がある)
 5) 手術野からの出血状況・外科的操作を再確認(過度な牽引・圧迫で血圧低下しないか、出血源はないか)

 1) 手術の経過と内容(術式、出血量、合併症の有無)
 2) 麻酔経過(導入方法、使用薬剤、輸液・輸血量、血圧や心拍数の動向)
 3) ルート類(静脈ルート、動脈ライン、CVライン)と各種モニタリング状態
 4) 現在の呼吸・循環状態(呼吸器設定、血圧、心拍数、CVP、尿量など)
 5) 注意すべき合併症リスク(再出血、感染、心筋虚血など)と対応方針

ACLSプロトコールに従います。
 1) ただちに心電図を確認、血圧が触れるかを確認
pulseless VTの場合
 2) スタッフを集める
 3) CPR開始
 4) アドレナリン投与準備
 5) 除細動器を準備し、ショックを行う

「すぐに抜管するのはお勧めできません。抜管の時期は、患者さんが自発呼吸を十分に維持でき、血行動態が安定し、覚醒レベルがしっかりとしていることが前提です。また、誤嚥リスクや再挿管リスクも考慮します。具体的には、
 -①血行動態: 血圧、心拍数が安定し過度な昇圧薬に依存していない
 -②呼吸状態: 自発呼吸の換気量やガス交換が十分
 -③鎮静レベル: 気道保護反射(咳反射)がある
 -④胸部画像や胸腔内の状態: 肺が十分に膨らみ、気道分泌物が多くない
などを確認してから抜管可能と判断してください。」

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