2024年解答例・解説 口頭試問 5-2

口頭試問

2024年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

DL方法:ログイン⇨認定施設申請⇨過去問(口頭試問) 

 -追加で行うべき検査 (2つ)
  1) 胸部CT
  2) 心エコー
 -医療面接で本人と共有すべき情報 (2つ)
  1) 手術・麻酔の目的と予後見通し
  2) オピオイド(モルヒネ)の周術期継続または用量調整の必要性、メトホルミンの術前休薬
 -整形外科医と術前に共有すべき情報 (2つ)
  1) 術後感染リスクや創傷治癒遅延リスクの可能性
  2) 手術の侵襲度と患者の残余寿命・QOL向上期待度のバランス(手術の緊急度、術式の簡略化やリハビリ計画)

 例) B. 脊髄くも膜下麻酔(スパイナル麻酔)を選択
  -利点: 下半身の強力な鎮痛効果が得られ、意識下で呼吸保持が可能。侵襲が比較的少なく、術後の全身管理が楽
  -欠点: 血圧低下などの循環変動リスク。適切な脊髄レベルコントロールに失敗した場合、鎮痛不十分や高位脊麻による呼吸抑制も起こり得る

1) もしA.全身麻酔を選んだ場合
回答
 -静脈麻酔薬の例: ミダゾラム4mgのボーラス投与開始
  または吸入麻酔: セボフルラン 1%程度(最小限のMACで循環安定化を図る)
 -循環動態モニター: Aline

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2) もしB.脊髄くも膜下麻酔を選んだ場合
回答
 -局所麻酔薬: 例えば0.5%等比重ブピバカイン 3 mL
 -循環動態モニター: 動脈ライン

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3) もしC.末梢神経ブロックを選んだ場合
回答
 -下肢主要神経叢: 腰神経叢と仙骨神経叢
 -使用局所麻酔薬の例: ロピバカイン 0.5~0.75% 。最大投与量は3 mg/kg なので(70 kgなら210 mg)

 1) 聴診により呼吸状態確認(左右差、肺胞音など)
 2) くも膜下麻酔のレベルチェック
 3) 血液ガス分析(動脈血ガス)
 4) リザーバーマスクに変更。酸素流量を上げ、接続不良がないかをチェック

 原因:胸水貯留
 処置:肺エコー検査、胸水穿刺

解説

縦隔、気管が健側の右側に圧されているように見えますね。
肺水腫、無気肺ではなく、胸水貯留かと思います。

麻酔科の〇〇と申します。今回、がんで体力が低下している中、左大腿骨の骨折を治療するため手術を行いました。手術中はくも膜下麻酔という体のご負担が少ない麻酔方法で行われました。術後の呼吸状態がやや不安定になりましたが、これは胸水が再びたまったことが原因でした。新たに胸水を抜き、酸素をしっかりと補給する処置を行った結果、現在は酸素濃度も安定しています。今後は痛みをうまく抑えつつ、呼吸や心臓への負担を最小限にしてリハビリを進める予定です。日常生活の質を少しでも改善できるよう、経過を今後も見ていきます。何かご心配な点があればいつでもお尋ねください。

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