2023年解答例・解説 口頭試問 1-1

口頭試問

2023年の麻酔科専門医試験 筆記試験の過去問解説を行っていきます。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

ASA-PS分類:4 
Child-Turcotte-Pugh分類:GradeC

解説

ASA-PS分類:4 手術は翌日予定なのでEはなし。
Child-Turcotte-Pugh分類:合計13~15 点
腹水1~3点 (記載なし), アルブミン3点 (<2.8), ビリルビン3点(>3), PT-INR:3点 (>2.3),  肝性脳症:3点(GradeⅢ~Ⅳ)

① 人工呼吸管理中
② 肝不全
③ 凝固障害 (血小板低下はなし)
④ 軽度高カリウム血症
⑤ 低タンパク血症
⑥ 繰り返す炎症による腹腔内癒着の可能性
⑦ 大量出血のリスクあり

製剤:①FFP、②クリオプレシピテート
理由:凝固因子の補充を行う必要があるため

解説

・トロンボエラストグラムからは、低凝固因子状態もしくはそれに低血小板機能が加わったような波形ですが、術前検査で血小板は30万とあります。
・凝固因子の補充を行うことができる新鮮凍結血漿およびクリオプレシピテートの投与を行います。

対応:トラネキサム酸、FFPの投与、FFPの追加オーダーを行います。
理由:血液粘弾性試験結果から線溶系の亢進状態と考えられ, 凝固能低下が継続しているからです。

① 再灌流1分後からT波の増高あり
② 再灌流2分後からP波消失
③ 再灌流2分後からQRS 幅が拡大
④ 4分後には正常波を判別できず、徐脈化

① 高カリウム血症に対し、カルシウム製剤の投与, GI療法の開始,炭酸水素ナトリウムの投与をします。
② 高カリウム血症に対し、赤血球輸血の一時中断します。
③ 血圧低下の原因検索のため、術野、CVP、TEE等各種モニター値の確認をします。
④ 血圧低下のため、カリウムフリー輸液の急速投与、昇圧薬としてフェニレフリンやノルアドレナリン等の投与 , 心機能低下が見られる場合にはドパミンやドブタミン, PDE III阻害薬の投与も考慮します。

解説

・ カルシウム製剤の投与, GI療法の開始, 重炭酸ナトリウム, カリウム吸着フィルターの使用, 赤血球輸血の一時停止
・ 血圧低下にはカリウムフリー輸液の急速投与, 昇圧薬としてフェニレフリンやノルアドレナリン等の投与 , 心機能低下が見られる場合にはドパミンやドブタミン, PDE III阻害薬の投与も考慮します。アシドーシスは補正します。

① 灌流中に血液ガス測定でK値を測定し、必要があればGI療法等でK値補正を行う。

・ ボンベ内は 3.4Lx7.8 (MPa) = 265L程度の酸素有り、新鮮ガスとしての使用量は0.5L/分のため、安全係数 0.8 を考慮して計算すると265×0.8/0.5=424分。手術終了までは十分に動作可能です。

① まずは現在の状況の情報共有をして下さい。
② 外科医にはなるべく早い閉創を指示します。
③ 器械出し看護師に、もう使わないメスや突起物の保護するよう指示します。
④ 外回り看護師には、ICUへの連絡し状況把握、人工呼吸器の手配、一般電源の復旧前に非常電源が切れた場合の予備電源の確認、エレベーターの動作状況などを行うよう指示します。

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