2022年解答例・解説 口頭試問 2-1

口頭試問

2022年の麻酔科専門医試験 口頭試問の過去問解説を行っていきます。

公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

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①坐位での手術:低血圧により脳血流が低下しやすい、術中空気塞栓症の発症に注意する
②肥満:気道確保困難に注意する。術中低酸素血症に注意。
③高血圧:低血圧のリスク、高血圧コントロール状況、左室肥大による心筋虚血のリスク
④MEP使用:筋弛緩・吸入麻酔の使用の制限、術中覚醒のリスク
⑤開口制限:Mallampati 分類 Ⅳであり、気道確保困難の準備

全身麻酔の導入は、フェンタニル、プロポフォール、ロクロニウムを使用し、気管挿管を実施する。挿管が完了した後、スガマデクスを用いて筋弛緩のリバースを行い、MEPの正常な検出を確認する。
維持方法としては、吸入麻酔を使用せず、プロポフォールとレミフェンタニルによるTIVAで管理を行い、筋弛緩薬は使用しない。
必要なモニタリングとしては、BISなどの脳波モニターが推奨される。また、脳虚血の検出を目的として、可能であればNIRSを貼付する。筋弛緩の完全な拮抗を確認するために、筋弛緩モニターも使用する。

①術中空気塞栓 ②低血圧による脳血流量の減少

原因としては、呼吸回路からのリークが発生が考えられます。対策としては、回路の接続部分や蛇管の損傷、ソーダライムの緩み、カフ圧の状態を確認する必要があります。また、用手換気に切り替えて、呼吸器の異常をチェックすることも重要です。

① 陽極 (陽極を脳表、陰極を頭皮上として陽極刺激)
② 閾値上刺激を用います。理由としては、体動や咬傷など不要な合併症を防ぐため、最大上刺激だと過剰なMEP刺激により神経損傷を見逃す可能性があるため。 
③侵襲的操作前に術側で記録された基準となる MEP 波形のことです。一方で、健康側など手術の影響を受けないMEPはコントロールMEPと呼ばれます。
解説
https://anesth.or.jp/files/pdf/mep_monitoring_practical_guide.pdf

① 麻酔の深度と筋弛緩のレベルを確認する。
② 刺激機器の位置や接続、刺激条件に関する機器トラブルをチェックする。
③ 低血圧や低体温など、バイタルサインの異常がないか確認する。
④ 術野操作が原因でMEPが低下している場合には、圧迫や手技を一旦中断してもらう。

診断:空気塞栓
診断する方法:心エコー(TEE、TTEにて右心系の空気を確認)
改善する対策:
1) 中心静脈カテーテルから吸引を行う
2) 脳血管での塞栓を防ぐために頭低位し、Airを肺に送るために左側臥位にする
3) 術野を生理食塩水で満たす

PFOやASDを介した脳梗塞や心筋梗塞などの塞栓症

発生機序:
①高い気道内圧により、気胸や皮下気腫などの圧損傷が起きてしまう
②肺胞の過進展による肺損傷
③肺胞の虚脱・再膨張時の剪断応⼒による虚脱性の肺損傷
対策:
①一回換気量の制限(6-8ml/kg)
②PEEPの付与
③プラトー圧の制限(25~30cmH2O以下)

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