2023年解答例・解説 口頭試問 2-1

口頭試問

2023年の麻酔科専門医試験 筆記試験の過去問解説を行っていきます。

日本麻酔科学会公開の専門医試験過去問はHPから御覧ください(日本麻酔科学会HP)。

・ 親族の悪性高熱症のエピソード
・ 10年前の胃癌手術の情報収集: トラブルの有無、麻酔法, 悪性高熱症の診断のための検査を受けたことがあるか
・ 胃癌の詳細な術式 (部分切除か全摘か)
・ GERDの有無や嘔吐しやすいかなど
・ 高血圧の治療薬やコントロール状況

・ 通常は寝てから呼吸するためのチューブを気管に入れますが、 前回の手術の影響で誤嚥してしまう可能性が高いです。
全身麻酔がかかってしまっている状態では起きている時とは異なり、気管に異物が流れ込むことをある程度防げないので、そのまま気管に嘔吐物が流れ込み、重篤な肺炎を起こし危険です。
少し苦しいかもしれないが、痛み止めや少しぼんやりする薬、口やのどの麻酔を使って行います。
一緒にがんばりましょう。

・一例ですが、導入では、プロポフォール2mg/kg、ロクロニウム1mg/kg投与します。
維持では、プロポフォールはBISモニターをつけ、TCIで適量、筋弛緩薬も筋弛緩モニタリングを行いながら、適量投与します。

・ 吸入気酸素濃度が97%, 呼気酸素濃度が65%. 脱窒素化が完了していないためまだ行いません。
解説

・ マスクをきちんと密着させ酸素流量を増加させます
・ 深呼吸を促します。

・ 対応: ①すぐ挿管、②口腔内吸引、③気管内吸引:気管支ファイバーで吸引
・ 起きた事象:胃液の逆流・誤嚥
・ 起き得る事象: 気管支痙攣, 酸素化悪化, 誤嚥性肺炎(メンデルソン症候群), ARDS など

・ 左はジャクソンリース回路、右はバッグバルブマスクです。
・ ジャクソンリース回路の利点は、一方向弁がないためPEEPをかけられる、100%に近い高濃度酸素投与可能、手で気道抵抗や肺コンプライアンスを感じやすいといった利点がありますが、新鮮ガス流量が少ないと再呼吸が生じてしまいます。また酸素供給源がなければ使用できません。
・ バッグバルブマスクは、酸素供給源がなくても使用できる利点、だれでも簡単に使用できる等の利点がありますが、ジャクソンリース回路に比べると周囲の空気の取り込みのため高濃度酸素が投与しにくい点(リザーバーを使用し十分膨らんでいれば高濃度可能)、一方向弁の存在で呼気の再呼吸が起こらない半面、気道抵抗や肺コンプライアンスが感じにくい点、PEEPがかけられない点などの欠点があります。またバッグバルブマスクは組み立てミスによる事故も起こっています。
・ 本患者の搬送は誤嚥後であり、ジャクソンリースで行います。

・ A: 3.4×6×10 = 204L.
・ B: 挿管患者にジャクソンリース回路を用いる場合、再呼吸を防ぐためには分時換気量の2.5倍程度の流量が必要です。分時換気量5L程度とすると、10分間で必要な酸素流量は2.5×5×10 = 125L
・ C: 流量根拠: 安全係数0.8を考慮しても125/0.8 ≒156L < 204Lと十分であり、再呼吸を防ぐためにも5L/min程度で十分と思われる。

・ 悪性高熱素因患者
・ 手術は腸管切除せずに終了
・ 麻酔導入時に誤嚥し、今後ARDS 発症リスクあり血液ガスやレントゲンのフォローのお願い。
・ 出血量、尿量等のIN-OUTのバランス
・ 挿管チューブや点滴等の情報

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